【生活保護】障害者手帳等による障害者加算について【精神障害編】

受給者向け
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はじめに

どうも、もとけぃです。

この度は、私の質問箱に最も質問があるもののうちの一つと言っても過言ではない「精神障害者保健福祉手帳による障害者加算」について解説させていただきます。

これは、福祉事務所でさえも取扱いを誤り、過支給を発生させてしまっているニュースを目にするほど複雑なのですが、何とか噛み砕いていきたいと存じます。

※ちなみに、制度の大枠や加算額等については、前回の記事をご参照ください。

 コチラ⇒【生活保護】障害者手帳等による障害者加算について【身体障害編】

※ここでは精神障害者保健福祉手帳のことを「精神障害者手帳」といいます。

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精神障害者手帳の位置づけ

まず、障害者加算の認定には「障害の程度が確認できる書類」が必要になりますが、これについて精神障害者手帳は次のように位置づけられています。

厚生労働省保護課長問答(抄)
〔障害の程度が確認できる書類〕
問(7の65)局長通知第7の2の(2)のエの(イ)にいう「障害の程度が確認できる書類」には、精神障害者保健福祉手帳が含まれるものとして解して差し支えないか。

答 精神障害者保健福祉手帳の交付年月日又は更新年月日が障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた後1年6月を経過している場合に限り、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。この場合において、同手帳の1級に該当する障害は国民年金法施行令別表に定める1級の障害と、同手帳の2級に該当する障害は同別表の2級の障害とそれぞれ認定するものとする。

少し難しく書いてますが、噛み砕くと、精神障害者手帳を取得することとなった要因の傷病の初診日から1年6箇月を経過している場合、精神障害者手帳の等級が1級であれば障害者加算ア、2級であれば障害者加算イを認定して差し支えないとされています。

これだけだと「あれ、何か簡単じゃね…?」と思われるかもしれませんが、そうはいかないのが生活保護制度。
実は完全無条件で手帳の等級に基づいて加算認定ができるものではありません。
次はその通知等について説明していきたいと思います。

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地獄の判定基準

精神障害者手帳所有者による障害者加算については、厚労省保護課長により別途通知が示されています。
長くなるので、全文はコチラ⇒精神障害者保健福祉手帳による障害者加算の障害の程度の判定について
相変わらずわかりにくい文章がつらつらと書いてありますが、ざっくり言うと次のとおりで、障害基礎年金の受給権の有無が深く関係してきます。

精神障害者の障害者加算の認定について(要約)
1 障害基礎年金の受給権がある場合
(1)精神障害者手帳取得の原因となる傷病の初診日から1年6箇月を経過している場合、年金受給の裁定請求を行っている間、手帳の等級によって障害者加算を認定できる。
(2)年金受給の裁定請求の結果、受給が認められればその年金の等級に基づいて改めて障害者加算を認定する。却下となり年金が受けられない場合は、その翌月から障害者加算の認定を削除する。
(3)年金の裁定が却下された後、新たに手帳の交付又は更新を受けた場合は、改めて年金受給の裁定請求を行わせ、その結果が出るまでの間は手帳の等級によって障害者加算を認定できる。

2 障害基礎年金の受給権がない場合
 精神障害者手帳取得の原因となる傷病の初診日から1年6箇月を経過している場合、手帳の等級によって障害者加算を認定できる(年金の裁定請求は不要)。

以上のように、年金の受給権があるか否かで取扱いが大きく変わってきますね。
※ちなみに、受給要件については日本年金機構のHPをご参照ください。
 コチラ⇒障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

1については文字だけでイメージしにくいところもあるかもしれませんので、東京都運用事例集の画像も参照してみましょう。

受給権がある場合、仮に年金の受給が却下されても手帳の期限更新ごとに再裁定・加算認定を繰り返さなければならないため、ご本人や福祉事務所の負担は計り知れません。

また、ここでよくわからないのは「年金の受給権がない場合はほぼ無条件で手帳の等級に基づいて加算認定できる」という点です。
私の質問箱等にも「年金を納めてきた者より納めなかったものが得なような気がして納得できない」という意見が寄せられることがありますが、お気持ちとしてはわからなくもない気もしてしまいます。
ただ、厚労省が通知として示している以上、福祉事務所はそれに従って運用するしかないんですけどね…

まとめ

精神障害者手帳による障害者加算の認定について、ある程度ご理解いただけたでしょうか。

正直複雑でこれだけでは理解しきれない部分もあるかもしれませんので、コメントや質問箱、メール等でご相談いただければ回答いたしますし、記事のブラッシュアップにもつながるのでぜひともお願いしたいところです。
ぶっちゃけ年金の受給権うんぬんでなく、手帳の等級に基づいて認定できればご本人や福祉事務所の負担も軽減されるのではないかと考えます。

次は、療育手帳等について語ることができればなと思っております。

以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

コメント

  1. スパゲティ より:

    次の更新で精神2級の認定を受ける可能性が高い診断書をもらいました。障害年金に関しては未納期間の関係で受給資格がありません。この場合、(2級取得後に)その旨をCWに伝えれば障害者加算を受けられるという理解で良いでしょうか。

    あまりにも情報が錯綜していて、2015年頃以降障害年金受給資格がないと障害者加算を受けられなくなったであるとか、一度受給した障害者加算の返還を命じられたといった話もネットに流れていて、何を信用していいのかわからない状況です…。

    アドバイス頂けると幸いです。

    • もとけぃ より:

      スパゲティ 様

      コメントありがとうございます。

      受給権がない方の場合、記事にある厚労省課長通知のとおり、精神障害者保健福祉手帳交付から1年6箇月を経過している場合、手帳の等級によって障害者加算を認定できる(年金の裁定請求は不要)とされていますので、概ねその認識でよいです。
      納付期間不足に伴う受給資格の有無によって加算認定が左右する旨の記載はどこにもありません。

      未だに福祉事務所の取扱いが誤っていたというケースが後を絶ちませんので、この通知の存在も伝えてあげましょう。

      • スパゲティ より:

        精神手帳が2級になり、無事障害者加算がつくことになりました。加算の申請に行った時なのですが、「障害年金の受給資格はある?」から始まるより整理されたフローチャートがすぐにプリントアウトされてきて、受給資格がないことを伝えるとすぐに障害者加算がつくと言われました。うちの自治体ではそのあたりシステム化されているようです。

        手帳が更新されるまでの3ヶ月間不安でしたが、もとけぃさんに説明していただいて助けになりました。ありがとうございます。

        • もとけぃ より:

          スパゲティ 様

          コメントありがとうございます。

          きちんとした自治体でよかったですね!
          またご不安な点等ありましたら、いつでもご相談ください。

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