【生活保護】入院による保護費の変更、1ヶ月っていつから?

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入院基準への変更について改めて解説!

皆さんこんにちは。
本日は、質問箱にてご質問いただきました、入院に伴う生活保護費への影響について語ろうと思います。

以前、入院が1ヶ月を超えると生活保護費が少なくなるというニュアンスの記事を書きました。
こちらですね⇒入院すると保護費が減る?基準生活費について解説!

今回は、言わばこの記事のリニューアル版、さらに詳しい内容について解説しようという趣旨です。
それではまいりましょう。

まず、上記の記事を見てもらうと、期間について「1ヶ月」(通知上は1箇月と表記。)とありますが、この1ヶ月とは何日間のことをいうと思いますか?
月によって30日、31日、2月は28日までとまちまちですからね。
この生活保護制度の入院期間における1ヶ月間については明確には記されておらず、実態までは把握できませんが、ほとんど全ての福祉事務所が民法の定めに準用していると思われます。

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法律関係は…

民法では次のように定められています。

民法(抄)
第143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

これだけでは何ともわかりにくいので、もう少し詳しく説明します。
「暦に従う」とは、1月を30日又は31日とか、1年を365日とかというように日に換算して計算することではなく、例えば、1月といった場合は、翌月における起算日に応当する日(以下「応当日」という。)の前日を、1年といった場合は、翌年における起算日の応当日の前日を、それぞれの期間の末日として計算することをいいます。

つまり、例えば12月10日から1ヶ月といえば1月9日までを指します。
そして、1月31日から1ヶ月となると、2月には31日がないため、その末日である28日(うるう年なら29日。)が満了日となります。

そのため、生活保護制度における基準生活費を居宅基準から入院基準(入院患者日用品費)に変えるのも、12月10日の入院であれば1月10日まで継続した場合、1月1日から入院基準に変更ということになります。1月31日の入院であれば、3月1日まで継続した場合、2月1日から変更といった具合です。
局長通知第7-2-(3)-エ及び課長問答7-29により「月の中途(月の2日以降)で入院した者である場合は、入院患者日用品費は、入院日の属する月の翌月の初日から計上される」ことになっているからですね。

しかし、ここで疑問になるのが「あれ?じゃあ月の初日から入院して1ヶ月経過した場合はどうなるの?」という点です。
これについても生活保護制度上明確に記されてはいませんが、初日入院の場合は、当該月から入院基準に変更する福祉事務所がほとんどだと思われます。以下で説明していきましょう。

実は民法には次のような定めもあります。

民法(抄)
第140条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

いわゆる「初日不算入」というやつですね。
この条文が定められていることから、過去に「月の初日から入院した場合、入院期間は2日からになるのだから、翌月1日付けで入院基準に変更すべき」と審査請求が行われたケースがあるので紹介します。

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審査請求(不服申立て)の事例

本答申は福岡県によって行われており、全文はこちらです(外部リンク:福岡市東福祉事務所)。

これは、審査請求人(被保護者)は平成29年3月1日に入院し、同年4月30日に退院。そのため、処分庁(福岡市東福祉事務所)が局第7-2-(3)-エ及び課長問答7-29に基づき、3月1日付けで生活基準を居宅から入院に変更したところ、審査請求人が「1ヶ月の期間が民法の定めに従っているのであれば、初日不算入の定めにも従い、入院期間は3月2日から始まったものと解し、4月1日付けで変更すべき」と主張したものです。

結果としては、本件処分は保護の実施要領にのっとっており、適法かつ妥当であるため、本件審査請求は棄却されることとなりました。

ここで見ていただきたいのは、答申の第3-(2)-イで語られているとおり、「審査請求の審理にあっては、法令の規定や通知に示された取扱いを前提として判断するしかない」という点です。
これは悪く言えば「厚労省が通知等で定めているものには従うしかなく、通知等自体の法律上の妥当性までは審査請求では判断できませんよ」ということです。
つまり、審査請求の末、裁判所に判断してもらうこととなった場合、そもそも通知自体が違法であると下される可能性もあります。

当然、福祉事務所は現状定められている通知等に従って事務を行うしかありませんので、こういった期間の定め等は、厚労省がキッチリ決めるか、そうでなければ福祉事務所に裁量権がある旨を明記するかしてもらわないと、現場は困りますよね…。

まとめ

今回のまとめは以下のとおりです。

①生活保護制度上の入院期間等の1ヶ月は民法の規定に従う場合がほとんど。
②1ヶ月とは、その起算日(入院日)から翌月の前日までを指し、その日を過ぎると1ヶ月を超えたこととなる。
③月途中で入院し、1ヶ月を超える場合、翌月1日付けで居宅基準から入院基準に変更となる。
④現状、月の初日から入院し、1ヶ月を超えた場合、当該月の初日から基準を変更される。

といったところですね。
また、基準が居宅から入院に変更となった際、処理のタイミングによっては生活保護に過支給が生じ、翌月以降の保護費が減額されたり、医療費の自己負担が発生したりする場合があるため注意です。
しかし、受け取る保護費が減るからといって医師が入院継続と判断しているにもかかわらず勝手に退院すると、福祉事務所からの指導対象となるので厳禁です!

また、わかりにくい部分等ありましたらご質問いただけると幸いです。

以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

コメント

  1. 風流 より:

    実際に役所の人に聞いたところ、一か月を超えて入院した場合の支給額は家賃を抜いて2万2千円だそうです。電気ガス水道の基本料金に携帯料金でマイナスになりますが、入院期間の食費が浮いた分退院してから使え。とのことですが、入院中はテレビ見るのにもお金がかかるし、洗濯など色々と自宅にいる時とは別の出費があるのですがそういったことは一切関係ないって感じの回答でした。

    • もとけぃ より:

      風流 様

      そうですね、おおよそその程度の額です。

      確かに、最近は通常の光熱水費だけでなく、通信費も当たり前にかかってくるところですが、現状生活費の一部として別には捉えられていないようですね。

      今後の見直しに期待…です。

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