大学の奨学金はどうなる?
どうも、もとけぃです。
今回は、質問箱でもご質問いただいた大学進学等にかかる奨学金の取扱いについて解説したいと存じます。
今では高校進学は当たり前となり、生活保護制度でも当然のように生業扶助としてその通学等にかかる費用が認められています。
いずれは大学進学もそのようになっていくのか…そんなことを考えつつ、まいりましょう。
貸付金としての取扱い
まず、いわゆる奨学金は貸付金として取扱われます。
そして、通常生活保護制度で貸付金は収入認定の対象となりますが、奨学金は次のような取扱いとなります。
厚労省事務次官通知第8-3-(3)(抄)
次に掲げるものは、収入として認定しないこと。
ウ 他法、他施策等により貸し付けられる資金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額
よく、「奨学金は学生ローンと呼ぶべきだ」という話も耳にしますよね。
そのため、奨学金もこの取扱いのとおり、貸付金の範疇で処理されるというわけです。
ただ、これだけではあまりに曖昧なので、局長通知によりもう少し細かく定められています。
奨学金は収入として認定しないもの
結論として、奨学金は収入認定からは除外される対象です。
そのことを示している通知が次のとおりです。
厚労省局長通知第8-2-(3)(抄)
貸付資金のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられることにより収入として認定しないものは次のいずれかに該当し、かつ、貸付けを受けるについて保護の実施機関の事前の承認があるものであって、現実に当該貸付けの趣旨に即し使用されているものに限ること。
イ-(ウ)大学等への就学のため、第1の5による世帯分離又は、大学等への就学にあたり居住を別にすることが見込まれる世帯について、大学等への就学後に要する費用にあてるための貸付資金
このとおり、大学へ進学し、元々の世帯から出て別世帯となるのであれば、事前に福祉事務所が承認した額については認定しないものとして取扱うことができるとされています。
ちなみに、第1の5とは局長通知のことで、貸付金、給付金等を受けて大学で就学することにより世帯分離の対象となる者のことを指します。
いくらまで認定除外されるのか
奨学金が収入認定除外対象であることはご理解いただけたと存じます。
しかし、貸付金である以上は収入であることには違いないので、当然青天井に除外するわけにはいきません。
では、いくらまでが除外対象となるのか、これもまた通知である程度定められています。
厚生労働省保護課長問答(抄) 〔自立更生のための用途に供される額の認定基準〕 問(8の40)局長通知第8の2の(3)及び(4)にいう自立更生のための用途に供される額の認定は、どのような基準によるべきか。 答 被保護世帯の自立更生のための用途に供されるものとしては、次に掲げる経費にあてられる額を認めるものとすること。これによりがたい特別の事情がある場合は、厚生労働大臣に情報提供すること。 なお、この場合、恵与された金銭又は補償金等があてられる経費については、保護費支給又は就労に伴う必要経費控除の必要がないものであること。 (2)-(エ) 当該経費が大学等への就学後に要する費用にあてられる場合は、授業料や生活費その他就学のために必要と認められる最小限度の額(当該取扱いは、大学等への就学後に要する費用にあてることを目的とした貸付金や恵与金を当該大学等に就学する者が高等学校等に在学している間に、同一世帯の被保護者が受領する場合に限る。)
多少ふわっとしている印象は受けますが、要するに「大学就学後の授業料や生活費等の額を明確に提示できれば、その最小限度の額は除外対象として認められるよ」ということです。
授業料については大学等のパンフレット、生活費については転居先の借家の契約書等が根拠資料として挙げられるでしょうね。
自立更生費の対象として認められるには、これまた通知で「自立更生計画書」の提出が求められているので、前述のような資料を揃えたうえで、適正に記入して事前に提出しましょう。
まとめ
大学等の奨学金は収入認定の除外対象として取扱われ得ることについて、ご理解いただけたでしょうか。
今や高校卒業後の大学・短大進学者は全体の58.9%です(文科省:令和3年度学校基本調査)。
今はあくまでも収入を認定除外するといった取扱いですが、冒頭でも述べたように、いずれは大学進学費用自体が保護費から支給される…なんて日もそう遠くはないのかもしれませんね。
以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。
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