収入認定しなくなった!?親族等からの現物援助【生活保護】

受給者向け

これまで、親族等からの仕送りは現金・現物を問わず、原則一律で収入認定することが定められていました。
米等の主食、野菜又は魚介等をもらった場合でも、本来であれば福祉事務所に逐一申告し、収入認定をされることとなっていました。

しかし、この令和3年4月1日、この現物援助の取扱いに変更があったんです!
皆さんの福祉事務所からはしっかり説明があったでしょうか?
ちなみに私はケースワーカーを引退しており、存じ上げませんでした…
何がひどいって最新版の生活保護手帳に載ってないんですよこれ!
やっぱりリアルタイムで変遷が確認できないのは少し痛いですね…

変更後の現物援助の取扱いは、以下のとおりです。
だいぶ長いですが、後で簡潔にまとめますので安心してください!

厚労省社会・援護局保護課長通知(抜粋)
問(第8の29)主食、野菜、魚介以外の現物援助について
 主食、野菜又は魚介について現物で贈与を受けた場合は、農業収入又は農業収入以外の事業収入の認定の例により金銭換算した額を認定することとなっているが、現物で贈与を受けた場合の収入認定について、下記の場合に如何に取り扱うべきか。
(1)嗜好品(酒、たばこ、茶菓類、珍味等)、被服、衛生用品、家具什器、燃料などの贈与を受けた場合
(2)主食、野菜又は魚介も含む食料(嗜好品に当たるものは除く)や食事について、一時的又は不定期に、社会事業団体その他が運営する子ども食堂において食事の提供を受けた場合やフードバンクから食料の提供を受けた場合、あるいは地域社会のつながりや親族間の関係性による慈善的、福祉的な性質による食料の援助を受けた場合。

答 下記のとおり取り扱われたい。ただし、いずれの場合も、贈与者と当該被保護者との関係等を考慮した上、まずは当該被保護者に対し、金銭的援助の可能性について調査すること。しかしながら、この場合にあっても、扶養義務関係がないか、あっても現状以上の能力がないと認められる場合で、現状の贈与が贈与者の厚意によるものであるときは、せっかくの意思を阻害しないよう留意すべきである。
 なお、贈与品の内容等によって資産の活用の問題について検討する必要のあることはいうまでもないが、例えば社会通念上高価な物品、食料(以下、「物品等」という。)が贈与された場合には、当該物品等が既に費消されている場合や売却等による活用が困難な場合に、当該物品等そのものの販売価格を収入認定するようなことは、最低生活維持の観点から行うべきでないので、留意すること。
(1)設例のような品目の贈与を受けている場合は、収入認定しないこととして差し支えない。
(2)子ども食堂において無償で提供される食事や、フードバンクから提供される食事や、フードバンクから提供される食料については、その取組の趣旨に鑑み、原則、収入として認定しないこととして差し支えない。
 また、地域社会のつながりや親族間の関係性等による慈善的、福祉的な性質による食料の援助については、その善意を受け入れることが、本人の社会的孤立を防ぎ、自立の助長に資するという観点から、原則、収入として認定しないこととして差し支えない。
 ただし、保護費を生活保護の趣旨目的に反する用途に使用することで、過度にフードバンク等を利用するなど、家計管理が困難な世帯については、適切に家計の管理を行うよう必要な助言指導を行うこと。加えて、例外的に、当該世帯全体に係る第1類費の額としてされた額に4分の3を乗じて得た額のうち、3分の1を超える需要が経常的に満たされている場合に、当該額について収入認定を行うことといった対応について検討を行うこと。

いや~、長いですね(笑)
重要な部分を要約していこうと思います。

簡単にまとめると…
「嗜好品(酒、たばこ、茶菓類、珍味等)、被服、衛生用品、家具什器、燃料などの贈与を受けた場合は収入認定しなくていいよ」
「フードバンクや地域のつながり、親族からの慈善的な食料の援助については、一時的・不定期のものであれば原則収入認定しなくていいよ」
「高価な物品や食料の贈与を受けたとき、既に使い終わったり食べたりしたものや売ることが難しいものは、その販売価格そのままには収入認定しないよ」
ということですね、ただし…
「金銭で援助してもらえないかも調査するよ」
「変な理由で過度にフードバンク等を使っているなら指導するよ」
「あまりに多く支援を受けている場合は収入認定するよ」
ということが書かれています。

収入認定しない理由として「贈与者の厚意によるものであるときは、せっかくの意思を阻害しないよう留意すべき」「その善意を受け入れることが、本人の社会的孤立を防ぎ、自立の助長に資するという観点」が挙げられています。
やっぱり、生活保護法は他の法律と違い、人の感情部分を考慮する場面が多いような気がして、実におもしろいですね!

これにより、近所や親族等の援助を必要以上に遠慮する必要はなくなったと思われます。
ただ、現物であっても収入には違いないので、援助を受けたときは必ず福祉事務所に申告しなくてはいけません。
あくまでも、適正な申告を受けて福祉事務所が「認定しない」と判断するわけですからね。
どうせ認定しないからといって申告してなかったのが後でバレると不正受給となり、最悪の場合は刑事告訴もあり得ない話ではありません。
制度は正しく理解し、正しく活用しましょう。


以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

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