【生活保護】通院先は近隣じゃないとダメ?移送費も出ない?

受給者向け
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生活保護では通院先の制限がある?

生活保護を受給中の方の医療費は、医療扶助が支給されるため、原則全額負担しなくてよいということは、皆さんもご存知かと思われます。
しかし、皆さんの中には「自宅から近場の病院に通院してください」と言われたことがある方がいるのではないでしょうか。
これは、確かに概ね正解なのですが、場合によっては福祉事務所が不適切な取扱いをしていることもあります。
今回はそんな、生活保護受給中の通院先の制限についてお話します。

法律関係は…

まず、通院先の医療機関の選定については、次のように定められています。

厚労省局長通知医運第3-1-(3)-オ-(ア)
 福祉事務所又は町村において各給付要否意見書を発行する際は、指定医療機関から次の標準により選定して、当該指定医療機関において各給付要否意見書に意見を記載のうえ提出するよう指導すること。なお、選定にあたっては、要保護者の希望を参考とすること。
(ア)要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する指定医療機関であること。

確かに、これだけ読めば、「通院先は自宅の近く」と読み取れます。
しかし、これとは別に、課長通知というものがあります。

厚労省保護課長通知(昭和48年5月1日)
生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について(抄)
(問3)医療要否意見書等を発行する場合の指定医療機関の選定にあたって「なお、要保護者の希望を参考とすること」としているが、その趣旨は何か。
(答)指定医療機関の選定にあたっては、医療扶助運営要領第3の1の(3)のオの(ア)から(オ)に定める選定の標準により行なうものであるが、この選定の標準をみたす範囲内で、参考として要保護者の希望を聞くこととしている。すなわち、その指定医療機関の選定は、あくまでも保護の実施機関の権限であることを明らかにするとともに、保護の実施に支障のない限り、患者の医師に対する信頼、その他心理的作用の及ぼす諸効果をあわせ考慮すべきこととしたものであり、したがって、このなお書きの運用にあたっては、保護の実施に支障の生ずることのないよう慎重な取扱いが必要である。

ここでは、取扱いについては慎重を要することとともに、医療機関の選定において「患者の医師に対する信頼、その他心理的作用の及ぼす諸効果をあわせ考慮すべき」と明記されています。
これを含めると、必ずしも自宅から近場の医療機関でなければいけないというわけではないということがわかります。

また、「近場」や「近隣」でなく、「近距離」と書かれているのもポイントです。
福祉事務所がこれを根拠に通院先を制限してくるようであれば、当然に「近距離とはどこまでをいうのか」を明確に提示しなければなりませんからね。

生活保護制度では移送費の規定も

さらに、福祉事務所が認めた場合、通院の際の交通費(移送費)が支給されることになっています。
この決まりは次のように書かれています。

 厚労省局長通知医運第3-9-(2) 給付の範囲(抜粋)
 受診する医療機関については、原則として要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する医療機関に限るものであること。
 ただし、傷病等の状態により、要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する医療機関での対応が困難な場合は、専門的治療の必要性、治療実績、患者である被保護者と主治医との信頼関係、同一の病態にある当該地域の他の患者の受診行動等を総合的に勘案し、適切な医療機関への受診が認められる。

通院先の規定について、先ほどの課長通知よりも詳しく示されていますね。
つまり、単純に「同じ内科や整形外科であればもっと家の近くにあるんだから、そっちに通院してください」というだけでは通じません。
ケースワーカーは主治医に病状実態調査のうえ、他の医療機関への転医の可否、被保護者と主治医との信頼関係等を総合的に検討したうえで、助言指導をする必要があります。

受給者ができる対応は

そのため、福祉事務所から通院先を変えるよう指導されたときは、その根拠を問いましょう。
もちろん、正当な利用であれば従う必要がありますよ。


以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

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