はじめに
どうも、もとけぃです。
世間が統一地方選挙で色めきだす今日この頃。
ちょうどよい機会なので、生活保護と選挙の関係についてサクッと語ろうと存じます。
選挙に立候補した際や供託金の取扱い等について説明いたします。
基本的には生活保護の問答集をおさらいするようになりますのでケースワーカーの方には物足りないかもしれませんが、暇つぶしにでもご一読ください。
それでは参りましょう。
厚労省の見解
被選挙権は憲法で認められており、生活保護制度における義務権利とはデリケートに関わる問題ですが、厚労省は次のように示しています。
厚労省保護課長事務連絡
生活保護問答集について(抄)
問11-10 被保護者が選挙に立候補した場合の指導指示
(問)被保護者が公職に就くために立候補した場合に関して、次の点につき承知したい。
(1)公職に就くための立候補及びそのための運動は、生計維持に関する努力義務に反するものであるか。
あるいは、自立更生の趣旨等から許容し得る範囲内の就職運動として認めることができるか。
(2)選挙運動中における生活指導、立入調査等は、公職選挙法第226条に規定する選挙の自由妨害罪に該当する場合があるか。
(答)(1)立候補をし又は選挙運動をすることをもって議員として能力を活用するための準備行為であることから保護の要件を満たすとの論があるが、本法において許容し得る就業運動の範囲は、その職業に就き得る見込みの程度、運動のための期間、本人とその職業との関連性等の点でおのずから限界がある。本法により保護の受給要件を満たしている者に最低生活を保障するということと、憲法によって被選挙権が認められているということは、別個の理念に基づくものであることから、本法による保護の要件を満たしているか否かの判断を下すにあたってはあくまでも本法の立場から考察すべきである。したがって、能力を活用し保護の要件を満たしている者が立候補し、選挙運動すること自体、本法の実施上何ら問題ないし、これを妨げるものではない。
(2)前記のとおり、立候補すること自体は能力の活用とはみなされないから、保護の要件を満たしたまま立候補することは極めてまれであろうと思われるが、何らかの事情により保護の要件を満たす者が立候補した場合で、保護の実施機関が保護を行っている場合は、その後において生活指導等を行うことは公職選挙法に反しない限り法律上許されるのであって、実際上も本法の施行上必要な調査等について「正当な理由なく」「職権を乱用」することによって選挙を「妨害」したとされる懸念の存する余地は殆どないものと思われる。ただ、憲法上被選挙権が認められていることからいって現実の実施上においては慎重な配慮が必要であることはいうまでもない。これに関して選挙資金の取扱要領を次に示すから参考とされたい。
1 供託金の取扱い(公職選挙法第86条、第92条)
(1)推薦届出の場合において当該届出者が供託したときは収入認定の対象外となる。
(2)直ちに供託金にあてるべき旨の明示の意思表示のものに他からの恵与され、又は貸付けられた金銭であって当該被保護者の手許に滞留することなく供託されたものも収入認定の対象外とする。
(3)収入の申告を怠り不正に秘していた預金から供託金を支出したときは、保護の不正受給として費用徴収の対象ともなる。
2 選挙運動資金の取扱い(公職選挙法第180条)
次のいずれにも該当するものは、出納責任者が当該被保護者本人であると否とを問わず、収入認定の対象外とする。
(1)選挙運動資金にあてるべき旨の明示の意思表示のもとに、他から恵与され又は貸付けられたものであること。
(2)現実に選挙運動資金にあてられること。
(3)当該資金の経理が当該被保護世帯の家計と明確に区分されていること。
非常に長い内容ですが、ざっくり言うと次のとおりです。
・生活保護を受けられる状態にあって、制度上の義務も果たしているなら何ら問題ないよ ・生活保護制度上の生活指導等を行うことは、妥当な理由があれば基本的に問題ないよ ・供託金(立候補に要するお金)は不正に得たものでなければ基本的に収入認定しないよ ・選挙運動資金は、それを理由として他から恵与等され、運動資金にあてたものであれば基本的に収入認定しないよ
…というように書かれています。
能力を活用していることが前提とされているので、例えばこれを以て本来すべき就労活動ができない等あれば指導指示は免れないと考えます。
このように生活保護法等、法律の上位法である憲法で権利が定められているもの取扱いは、非常にモゴモゴと書かれているものが多い印象です。
憲法の権利と生活保護上の義務に照らし合わせ、落としどころを探しているというところでしょうかね。
他にも同様の考え方のものはあると思われるため、疑問に思った点等ありましたらドンドンご質問ください。
まとめ
以上、生活保護と選挙の関係について、ある程度ご理解いただけましたでしょうか。
一応、問答集としては前述のように示されていますが、少し調べたところで実際の事例は出てきません。
もし受給者の方の立候補事例をご存知の方がいらっしゃればご教示いただきたいくらいです。
立候補することは難しいかもしれませんが、選挙への参加は重要です。
自身の考える未来を実現してくれそうな方に一票を投じましょう。
以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。
コメント
こんにちは。東京都小平市に住む生活保護受給者です。
4月23日に小平市議会議員選挙がありました。
私はある政策によって、殺されそうになっていまして、反対するために、選挙に立候補するという方法を考えました。
ケースワーカーに相談をしたところ、反対されました。理由は、供託金を支払うと、5月頃に、所持金がマイナスになってしまう恐れがありました。事前に生活保護の振込日や障害者年金の振込日等を視野に入れて、資金繰りをエクセルで作って、ケースワーカーに相談をしたのです。
その、資金繰りが厳しいということで、反対され、見送りました。
立候補以外の方法で、声を挙げています。
教員性暴力被害者 様
コメントありがとうございます。
生活保護を受ける場合、支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならないとも定められているので、その観点から福祉事務所より指導があったのであれば妥当と言えますね。
ご自身の能力を活用された上での真っ当な活動であれば応援させていただきます。