生活保護制度における仲介手数料について
さて、久々にやってまいりましたヘリクツ回。
今回はケースワーカー向けかな~といったところ。
転居の際、不動産会社の仲介手数料は保護費で認定できることは皆さんご存知でしょう。
※前にも少し語っているので、必要であればコチラを参照。
さて、ケースワーカーの皆さんは「賃借契約の際の仲介手数料の上限は法律で定められている」ということも、当然にご存知ですよね?
念のため、ね・ん・の・た・めですが、説明していきましょう(笑)
仲介手数料等にかかる法律関係は…
仲介手数料については「報酬」として宅建法で定められています。
宅地建物取引業法(抄)
(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は賃借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
以上が法律で、「国交大臣の定めるところ」とは以下のとおりです。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(抄) (最終改正 令和元年8月30日 国土交通省告示第493号) 告示第四 賃借の媒介に関する報酬の額 宅地建物取引業者が宅地又は建物の賃借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該賃借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用賃借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする。
以上のように定められています。
少し小難しく書いてありますが、ざっくり言うと
①不動産会社が賃借契約の報酬(仲介手数料)として受け取ることができるのは、1箇月の家賃×1.1の金額まで
②さらに、その場合、依頼者の承諾を得ている場合を除き、貸主借主それぞれから受けることができるのは、1箇月の家賃×0.55まで
…ということです。
1箇月の家賃×1.1倍を超える額を請求してくる業者はほぼいないと思うし、当然ケースワーカーもきちんと確認しているはずなのでいいでしょう。
私が「どうかな~」と思うのは②の方です。
依頼者とは仲介を依頼する貸主及び借主のことですから、この書き方を見るに、国交省は「原則では貸主0.55+借主0.55=1.1としている」と読み解けます。
ただ、「依頼者の承諾を得ている場合を除き」とあり、例外も定められていますね。
宅地建物取引業法の解釈等は
その例外については、次のように定められています。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(抄) 第46条第1項関係 1 告示の運用について(昭和45年建設省告示第1552号関係) 告示第四関係(倍率のみ現在のものに変えています) ⑤「当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合」とは、当該媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以上の報酬を受けることについての承諾を得ている場合を指すものであり、その場合においては、依頼者から受ける報酬の合計額が借賃の1月分の1.1倍に相当する金額を超えない限り、当該承諾に係る依頼者から受ける報酬の額、割合等については特段の規制はない。なお、この依頼者の承諾は、宅地建物取引業者が媒介の依頼を受けるに当たって得ておくことが必要であり、依頼後に承諾を得ても後段に規定する承諾とはいえず、後段の規制を受けるものである。
これを見てわかるように「貸主と借主の承諾があれば、1箇月の家賃×1.1倍のうちの割合は勝手に決めていいよ」と書かれています。
もとけぃの考え
これらをふまえて私が何を言いたいかというと、「国が原則は貸主・借主ともに1箇月の家賃×0.55倍ずつの負担と決めているのだから、生活保護費(住宅扶助)で負担するときも同様の割合であるべきなのではないか」ということです。
たまに、請求書にきっちり家賃×1.1倍の仲介手数料を計上している業者があります。
つまり、依頼者からの承諾を得たことにして、借主に100%負担させるというわけですね。
まぁ恐らく契約の際に承諾についての文言を書いたうえで契約書にサインさせているとは思うので違法にはならないんでしょうけど、本来的には1から10まで包み隠さず話したうえで了承を得る必要があります。
「保護費で全額出るんだから」といって業者から当たり前のように満額の請求を出されると「う~ん…」と思うことってありませんか?
借主は確かに本人だけど費用は保護費(税金)で出すんだから多少は話し合いの余地があってほしいなぁって感じです。
法律等は「例外が当たり前となるべきではない」と私は考えるので、厚労省と国交省で連携して「被保護者の場合は割合を~…」というように通知でも出して統率をとってほしいですね。
だからといって「支給しません!」とはできませんが…いずれ、監査で「手数料の負担割合について業者に訊ねるなど、検討をしたか」とか見られるようになったりして…。
取り留めないけどオワリッ!
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