退去時の原状回復費用は生活保護費で負担できない?【住宅維持費】

受給者向け
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借家からの転居時に必要となる原状回復費用

引っ越しは日常生活において大きめのイベントですよね。
引っ越しの際の荷物の移送費や入居の際の敷金等は、生活保護費で負担可能な場合があることは、皆さんご存知と思います。
しかし、実は退居するときの原状回復にかかる費用については、原則支給されないため、自身で高額負担を求められる場合があります!
今回はそんな原状回復費用について解説していきます。

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法律関係は…

まず、厚労省からは次のように通知が出ています。
少し長いため、後でもう少し簡略化したものもまとめようと思います。読むのがしんどい人はそちらをご確認ください。

厚労省保護課長通知
生活保護問答集について

問7-117 賃貸家屋からの転出にあたり原状回復費用の請求を受けた場合
(問)アパート等賃貸家屋に入居していた被保護者が転出に当たり、賃貸借契約に基づき賃貸人から原状回復費用の請求を受けた場合、その費用を住宅維持費をもって支弁することができるか。
(答)アパート等賃貸家屋の原状回復については、民法第606条の規定により賃貸人がその義務を負うこととされている。また、賃貸借契約の特約により、賃借人に原状回復費用が求められる場合があるが、その費用は契約時に支払った敷金(名称の異なる同様の趣旨のものを含む)で賄うべきものである。すなわち、住宅維持費として対応が必要な需要について、あらかじめ敷金として支払っていると解することができる。このため、改めて住宅維持費を適用することはできない。
 ただし、契約時において敷金を支払っておらず(入居時に局第7の4の(1)のカにより礼金・手数料等は支給しているが敷金を支給していない場合を含む。)、または支払った敷金が著しく低額であることにより、転出時に原状回復費用を請求された場合については、次のいずれにも該当する場合に限り、必要最小限度の額を住宅維持費として認定して差し支えない。
 認定額については、局第7の4の(2)のアに定める額の範囲内(124,000円)であり、かつ、局第7の4の(1)のカに定める額(家賃月額上限×3:入居時に同通知により敷金・礼金・手数料等を支給している場合は、すでに支弁した敷金・礼金・手数料等の額を除いた額)を上回らない額とする。
(1)原状回復につき特約があること
(2)原状回復の範囲が、社会通念上、真にやむを得ないと認められる範囲であること
(3)故意・重過失により毀損した部分の修繕ではないこと

以上、難しい言葉が結構長く並んでいてよくわからないですよね(笑)
ざっくりいうと次のとおりです。

①契約時に敷金を払っていない(払っていても低額である)
②原状回復費用について契約書上特約がある
③原状回復の費用が社会通念上当たり前の範囲
④自分の大きな不注意で傷をつけたようなものでない部分の修繕

以上の要件をすべて満たしていれば、上限額の範囲内であれば支給される可能性があるということです。

しかし、基本的には入居時に敷金等を支払っているケースがほとんどと思われるので、支給はなかなか厳しいとは思われます。
私の現役時代も認定したケースはありませんでした…。

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悪質な仲介業者、管理業者が多い!

この原状回復費用、生活保護費で出ないとなれば、自身で負担するしかありません。
一度に高額な費用を支払えなければ、大家や仲介業者、管理会社等と協議して月々いくらで返していく…と交渉をするほかないでしょう。

ただし、この仲介業者、管理会社ですが、なかなかにボッタクリ業者が多いです。
例えば、本来通常どおり使用して色が褪せた場合や家具等を置いていて軽微なキズがついたフローリングのような、本来は大家が負担しなければいけないもの(いわゆる経年劣化)も平気で入居者に原状回復費用として請求してくる会社がボロボロいる業界です。
また、「原状回復」とはあくまでも入居時の状態に戻すということなので、壁や床、全てを新品にする義務を負うものでもありません。
他にも、保険をうまく活用することで、入居中に修繕をしておくことができる場合もあります。
私は暇つぶしに勉強していたので現役時代にある程度業者と闘っていましたが、これって普通に生活していたらなかなか知る機会がないんですよね。
今回の話の趣旨とは少しずれるため今は語りませんが、今後こういった日常に潜むボッタクリから身を守り、必要以上の支出を抑えるような話もいずれしようと思います。

とにかく、原状回復費用は生活保護費で支給される場合があるが、基本的には難しい程度に覚えていただけたらと思います。

以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

コメント

  1. つきの より:

    家主です。医療にかかっていなさそう、ケアマネや訪問介護等も見ない80代の認知症で生保受給のおじいさんにほとほと困っています。階下に水漏れ被害を出しているのに部屋の中に入らせてもらえないため原因究明できず修繕できない。朝は5時から日中不定期に妄想相手に叫んでいる。隣人と言い合いになり傘で相手の目をつき3ヶ月刑務者へ。当時の国選弁護人や生保ケースワーカーはこれからもよろしくと置いて帰ってしまい、階下や隣室などこちらが転居費用出し今は空室に。年間約100万の損失なのに、ケースワーカーは精神の医療などにも繋げてくれず、このまま死を待っている様子。どうしたらいいでしょうか。こちらは最悪強制退去させるしかないと考えています。原状回復含め、これ以上の損失が出ないよう、今まで10年以上我慢したので、出来るだけ生保で負担してもらいたいのですが。

    • もとけぃ より:

      つきの 様

      コメントありがとうございます。

      ご相談のケースでは「故意・重過失により毀損した部分の修繕ではないこと」に当てはまらない可能性が高いので、生活保護費での認定は困難ではないかと推察します。

      解決の手口としては、程度によって「出水及び水利に関する罪」のいずれかに該当する場合がありますので、一度警察に相談してみるのもよいかもしれません。

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