生活保護制度上の介護保険の暫定利用
今回は珍しくケアマネジャー必見です!
とはいえ、優秀なケアマネさんであれば既にご存知のこととは思いますけどね(笑)
まず、生活保護受給者にも、基本的に介護保険は適用されます。
要支援・介護認定を受け、本来自己負担となるサービス費用の1割負担分を生活保護費で支給するといった寸法ですね。
これが介護扶助というやつです。
要支援・介護の認定日は生活保護と同様、申請をした日となります。
そのため、申請した日から「これくらいの認定が出るかな…」と予想しながらケアプランを立て、サービスを使い始めることもありますよね。
そして、実際に認定が下りれば、申請日まで遡って介護保険が適用されます。
もしも当初想定していた介護度より低く認定され、保険の上限を超えてサービスを利用していた場合、超えた分は自己負担になりますね。
これがいわゆる介護保険の暫定利用というやつです。
この暫定利用ですが、生活保護受給者には認められていません。
まぁ「認められない」と明記はされてないので、正確には「認められないと読み解ける」くらいが正しいかもしれませんが…。
※ある程度通知等読みましたが、もし明記されている部分があれば教えていただけると幸いです。
理由の一つとして、上記で述べたように「想定より低く介護認定がされた際に、自己負担ができない」というのが挙げられます。
法律関係は…
ただ、そんな保護受給者の暫定利用にも例外はあり、次のように定められています。
厚労省社会・援護局保護課長通知 生活保護法による介護扶助の運営要領に関する疑義について 問14 やむを得ない理由により、要介護認定等の結果を待たずに介護扶助の決定を行った場合で、要介護認定等が当初見込んだ要介護状態等区分よりも低く認定された場合や要介護認定等を行っている間に申請者が死亡した場合、実際の要介護状態等を超えた部分について法第80条の規定により返還を免除することとして差し支えないか。 答 差し支えない。また、「やむを得ない理由」に該当するのは、おおむね次のとおりである。 ①従前同居人からの介護を受けていたため、要介護認定等の申請を行わずにいたが、介護を行う同居人に病気等の介護が行えない事由が生じ、急遽事業者による介護サービスが必要となった場合 ②要介護認定等の決定が通常想定される事務処理期間(1か月間)を著しく超えていて、かつその認定の結果を待っていては著しく要介護(支援)者の身体の状況が悪化すると思われる場合 ③その他すみやかに介護扶助を行う必要があると保護の実施機関が認めた場合
これを見るに「やむを得ない理由に該当しない場合は、要介護認定等の結果を待たないと介護扶助の決定が行えない」ということになると思うんですよね。
ただ、「保険上限額を超えた部分は保護費(介護扶助)を支給しすぎたことになるから、本来は返還してもらわないといけないけど免除するよ」というのがこの通知です。
①は、まさしく書いてあるとおりの状況ですね。
②は、たまに筆の遅い医師が診断書を書くことになった際に発生することがあります。医療連携室に言っても、医師に伝えづらいのかそんな早くならんことが多いのよこれが。
③は、独居で本人の身体状況が急激に悪化し、「医療的には問題ないから入院はできないけど、このまま自宅での生活を送るには明らかに支障があり、生命の危機もある」ような場合が想定されます。
暫定利用ができないのであれば
生活保護受給者のケアマネを任されることになる場合、上記理由に該当しそうであれば福祉事務所に暫定利用について申し出てください。
また、そもそも介護保険の申請自体を早期に行っておくことも有効です。
自治体の介護保険係には「すぐにサービス使わないなら必要ないんじゃない?」みたいなことを言われるかもしれませんが、生活保護者が暫定利用をできない旨を伝えれば問題なく通るでしょう。
私がケースワーカーとして勤めていた際、やはり生活保護制度(介護扶助)について理解しているケアマネさんはほぼいなかったと思います。
そもそも、なかなか制度に触れる機会もありませんからね。
このブログでも、ケアマネさんが知っておくべき介護扶助の制度について解説できればなと思っております。
以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。
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