【生活保護】扶養義務者照会(調査)を解説!【どこまで?拒否できる?】

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扶養義務照会について解説!

どうも、もとけぃです。

今回は、令和3年2月に取扱いが変更となった生活保護制度における扶養義務者への扶養調査(照会)について語っていこうと思います。
以前からご質問等もあったのですが、扶養義務については非常に取扱いが複雑かつ難解であるため、ざっくりとご理解いただけるよう説明していこうと思います。

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生活保護法における扶養義務とは

まず、扶養義務者による扶養については、生活保護法において定められています。

生活保護法(抄)
(保護の補足性)
第4条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2 民法(明治29年法律第89号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3 前2項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

法第4条第2項においてこのように定められているため、基本的には保護を受ける前に扶養義務者の扶養等を受ける義務があるように見受けられます。

ただ、これはあくまでも民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させるという趣旨のものであるため、はなからその期待がない場合は考慮しなくてもよいものです。

また、扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば申請権の侵害にあたるおそれがあるとも示されています(厚労省保護課長問9の2)。

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扶養義務者とは

次に、扶養義務者とは何を指すかを説明します。
扶養義務者には絶対的扶養義務者相対的扶養義務者があり、民法・生活保護制度においては次のように定められています。

・絶対的扶養義務者
 本人から見て、曾祖父母(ひいおじいちゃん・おばあちゃん)、祖父母、父母、兄弟姉妹、配偶者、子、孫及び曽孫(ひ孫)
・相対的扶養義務者
 本人から見て、絶対的扶養義務者を除く3親等以内の親族(叔父母や甥・姪等)

基本的には上記に当てはまる場合は扶養照会を行う必要がありますが、厚労省通知において、さらに調査対象を絞っていますのでお示しします。

扶養照会を行う対象について

まず、照会の対象については福祉事務所による検討の結果「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に対して行うものであるとされています。

また、昨今の実態に沿った形で運用できるよう、厚労省が令和3年2月26日付けで対象の見直しが行われています。
全文はコチラです(重要な部分を下記に抜粋します)。
※長いので後でまとめますよ笑

厚労省保護課長事務連絡(令和3年2月26日付け)
扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について(抄)
3(1)扶養義務履行が期待できない者の判断基準
「扶養義務履行が期待できない者」について、課長通知第5の問2及び問答集の問5-1でお示ししている内容を整理すると、以下の3類型を例示している。
①当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者、長期入院患者、主たる生計維持者ではない非稼働者(いわゆる専業主婦・主夫等)未成年者、概ね70歳以上の高齢者など
②要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない(例えば、当該扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している等の事情がある、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合等が想定される。なお、当該扶養義務者と一定期間(例えば10年程度)音信不通であるなど交流が断絶していると判断される場合は、著しい関係不良とみなしてよい。)
③当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者(夫の暴力から逃れてきた母子、虐待等の経緯がある者等)
3(2)上記類型への当てはめについて
特に②の類型への該当に係る判断については、下記の考え方を参照した上で行われたい。
・従前、「20年間音信不通である」ことを該当例としてお示ししてきたところであるが、今般、例示を追加したのは、音信不通により交流が断絶しているかどうかに関わらず、当該扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合等に該当するかどうかについて個別の事情を検討の上、扶養義務履行が期待できない者に該当するものと判断してよいという趣旨であること。
・この検討に当たって、一定期間(例えば10年程度)音信不通であるなど交流が断絶している場合には、これをもって、「著しい関係不良等」と判断してよいこと。なお、10年程度音信不通である場合は、その他の個別事情の有無を問わず、交流断絶と判断してよいこと。また、音信不通となっている正確な期間が判明しない場合であっても、これに相当する期間音信不通であるとの申出があり、その申出の内容が否定される明確な根拠がないことをもって、該当するものと判断して差し支えないとの趣旨で、「程度」としていること。

上記の①と③はほぼ読んだままなんですが、②については通知で読むと相変わらず小難しい言葉で長ったらしくなってしまうので、ざっくりまとめます。


②では「要保護者(本人)と扶養義務者の間で借金や相続問題等で関係が著しく悪かったり、10年程度音信不通であったりすることを確認できれば、扶養義務を履行できない者として判断し、照会をしなくてもよい」「10年程度音信不通であることについて本人から申出があった際、その申出の内容が否定される明確な根拠がなければ『著しい関係不良等』と判断してよい」と示されています。

また、厚労省はこの通知のみではわかりにくいと判断したのか、調査のフローチャートも示してくれていますので、以下の画像をご覧ください。

厚労省保護課長事務連絡(令和3年3月30日付け)
「生活保護問答集について」の一部改正について(抄)

「現行」が以前までのものですが、比較すると改正後は取扱いがより柔軟になったようには見受けられますね。

まとめ

扶養義務調査について、ある程度ご理解いただけたでしょうか?


ただ、これはあくまでも基本的な取扱いを示したものに過ぎません。
実際には他にも通知がたくさんありますし、個々のケースでその都度福祉事務所が判断していく必要があります。

照会の拒否の申出やケースワーカー等が扶養照会についてどのように感じているかはまた別の記事で書こうと思いますが、どうあれ扶養照会を盾に水際作戦と捉えられるような対応だけはないように気をつけなくてはなりません!

以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

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