生活保護の不正受給に対する刑事告訴の7つの基準

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不正受給に対する対応

世間でもたま~に騒がれている生活保護の不正受給。
割合としては言われるほどではないような気もしますが、悪質なケースには当然に然るべき対応が必要です。
生活保護法第85条(罰則)もしくは刑法第246条(詐欺罪)に適用するものですね。

「そうはいっても前例もないし、何か難しそうだからやめとこう…」
そんな福祉事務所も少なくないのではないでしょうか。
私もケースワーカー時代に刑事告訴を経験し、何なら検察庁の不起訴処分に対し、検察審査会へ不服申立てを行い、最終的に実刑判決を得たこともあります。
難しいようにも思えますが、1度経験してしまえばそんなに大変なものではありません。

本日は、厚労省の通知に基づく、刑事告訴に至る7つの判断基準についてお話します。

通知で定められる7つの基準

通知では、次のように定められています。

厚生労働省社会・援護局保護課長通知(平成26年4月1日 社援保発第0401第1号)
生活保護に関する不正事案への対応について(抜粋)
 今般、不正事案に対して告訴等を検討する際の判断基準(目安)について、既に地方自治体が独自に定めている具体的判断基準を参考に、当方で以下のとおりとりまとめた。
 各地方自治体におかれては、公務員が職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発の義務が生じる(刑事訴訟法第239条第2項)ことにも留意しつつ、悪質な不正事案に対しては、これらも参考にして、積極的に告訴等を含めた厳正な対応をとられたい。
○ 次のいずれかに該当するものであること
① 不正受給金額が高額である
(高額であることを理由に告訴等を行う基準としては、100万円以上を目安としている自治体が多い。)
② 収入等に関する提出書類に意図的に虚偽を記載する、又は偽造、改ざんをするなど悪質な手段を講じている
③ 不正受給期間が長期にわたる
④ 生活保護制度の趣旨に反した使途のために不正受給を行ったものである
(ギャンブル、浪費等)
⑤ 過去にも不正受給をした事実がある
⑥ 告訴等の手段をとらない場合、返還の見込みが無い
(費用徴収に応じない等)
⑦ その他特に悪質であると認められる事実がある
(複数の福祉事務所で重複して不正受給している等)

該当すれば必ずしも告訴かというとそうではありませんが、検討のテーブルには挙げるべきでしょうね。
実際の流れとしては、上記の基準に基づいてケース診断会議で警察(刑事課)に事前相談に行くか判断し、相談となれば資料をまとめたうえで刑事課と打ち合わせを行います。
そして、打ち合わせの結果、起訴相当と判断されれば告訴状を提出することとなります。
告訴状の提出時点で甲決裁(市区町村長決裁)を経ることとなると思われます。
なお、告訴状のひな形については『生活保護行政を適正に運営するための手引について』(厚労省社会・援護局保護課長通知 平成18年3月30日 社援保第0330001号)に挙げられています(生活保護手帳の後ろの方に載ってます)。

まとめ

生活保護制度は、法律には珍しく市民感情を判断基準のひとつとするものであるため、社会的影響も考慮し、厳正な対応を執ることのできる福祉事務所が増えることを望みます。
…とはいえ、告訴等が必要となるのはあくまでも”悪質な”ケースですので、「う~ん、何かムカつくから告訴!w」などと法の濫用だけはないように注意しましょう!

 

以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

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