生活保護受給中に貯めていい貯金は何円まで?【判例紹介】

受給者向け
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生活保護受給中の預貯金は

最近、預貯金が多額になった際の保護停廃止についてご質問を受けることがありましたので、改めてまとめてみようと思います。
なお、生活保護を受けながら預貯金を貯めることの可否については以前に語っておりますので、そちらをご覧ください。
コチラ→生活保護を受けていたら貯金してはいけない?

なお、結論から言うと「何万円まで貯めると保護が停止・廃止になる」と明確には定められていません。
そのため、過去の判例等を紹介しますので、ある程度の目安にしていただきたいと存じます。

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保護の停廃止について

まず、保護の停止及び廃止は生活保護法で定められています。

生活保護法(抄)
(保護の停止及び廃止)
第二十六条 保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。第二十八条第五項又は第六十二条第三項の規定により保護の停止又は廃止をするときも、同様とする。

そして、その細かい取扱いについては、厚労省通知で次のように定められています。ここでは、今回のように預貯金が多くなり、停廃止に至る場合の取扱いを記します。

厚労省保護課長通知(抜粋)
問(第10の12)法第26条の規定により保護の停止又は廃止を行う場合の取扱いの基準を示されたい。
答 被保護者が保護を要しなくなったときには、法第26条の規定により保護の停止又は廃止を行うこととなるが、保護を停止すべき場合又は廃止すべき場合は、原則として、次によられたい。
 1 保護を停止すべき場合
 (1)当該世帯における臨時的な収入の増加、最低生活費の減少等により、一時的に保護を必要としなくなった場合であって、以後において見込まれるその世帯の最低生活費及び収入の状況から判断して、おおむね6か月以内に再び保護を要する状態になることが予想されるとき。
 2 保護を廃止すべき場合
 (2)当該世帯における収入の臨時的な増加、最低生活費の臨時的な減少等により、以後おおむね6か月を超えて保護を要しない状態が継続すると認められるとき。

これを文字どおり読むと、「預貯金が最低生活費の6か月分以内であれば、その期間保護停止、6か月分を超えるようであれば保護廃止」になるように思えますね。
しかし、以前の記事でも示したとおり、預貯金を単純に全て収入認定することはありません。
ここから、その預貯金の収入認定について争い、処分が取消された判例等がありますので紹介していきます。

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判例紹介

これは、わりと有名な保護変更処分取消等請求事件(秋田地方裁判所平成5年4月23日判決)です。
全文はコチラ(外部リンク:裁判所-裁判例結果詳細)

ざっくり説明すると、ここでは、支給された生活保護費と障害年金を原資とする預貯金81万2,753円のうち、30万円程度を収入として認定し、生活扶助費を減額したところ訴訟を起こされ、『前記預貯金は生活保護法4条1項の「利用し得る資産」及び同法8条1項の「金銭又は物品」に該当せず、前記保護変更処分は同法56条所定の「正当な理由」を欠き違法であるとして認容(処分取消)』されています(ついでですが、残りの預貯金の計画的な支出について助言指導をする際、その使途を弔慰の用途のみに制限する指導指示を行ったため、それも違法であると判決されています。)。
また、預貯金の使用の「目的も生活保護費を支給した目的に反するものとはいえず、また、その額も国民一般の感情からして違和感を覚えるほど高額のものではないことは明らか」とも述べられています。

まとめ

今回の預貯金81万2,753円というのは、あくまでも一事例にしかすぎませんが、受給中の方にもケースワーカーにもある程度の参考になるのではないかと思います。
どうあれ、本来的には最低限度の生活分しか保護費は出ていないので、計画どおり支出すれば貯まっていくことはありません(それもどうかとは思いますが)。
生活を切り詰めすぎて、健康で文化的な生活が営めなくならないようにしましょう!


以上、ご確認の程よろしくお願いいたします。

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